cvl-robot's diary

研究ノート メモメモ https://github.com/dotchang/

Jetson Nanoをロボットに搭載するために、リチウムポリマー6S22.2Vから5V80Wを安全に取り出せる電源を作る

Jetson Nanoは、安くて早くて便利ですが、フルスピードで動かそうとすると20Wの5V電源が必要になります。一般に、これをUSB電源からとるのは無理なので、DCDCコンバータを用意する必要があります。
一方、ロボットではモータを駆動するために、+12Vや+24Vの電源が使われることが多いです。そこで、24Vから5Vを作る電源を検討したいと思います。

この記事を参考にして事故等が起きても一切の責任を取れません。よくご検討の上自己責任でお願いいたします。

DCDCコンバータの選定

ロボットに搭載するために、できるだけ回路は物理的に小さくしたいと思います。自作でDCDCコンバータを作るとどうしても大きくなってしまいますから、素直にメーカー品を選定することにします。
www.cosel.co.jp
www.cosel.co.jp
有名メーカーのモジュールを探したところ、COSEL MGFS40/80シリーズが出力/サイズ比がもっともよさそうです。値段もそれぞれ、4000円、7000円とリーズナブルです。それぞれ、2台、4台のフルスペックJetson Nanoを動かすことができます。
難点は、現時点でどちらも在庫薄であることですが、そのうち入荷するでしょう。

低電圧検出回路の設計

大本の電源をリチウムポリマー電池から取り出すことに注意しなければなりません。リチウムポリマー電池は、過放電すると単に使えなくなるばかりか、膨らんで爆発するなどの危険性があります。そこで、終止電圧が来たらDCDCコンバータを自動的に止めるようにしなければなりません。リチウムポリマーの1セルの基準電圧は3.7V、終止電圧は3.0Vぐらいが一般的です。厳密にやるならば、各セルの電圧を監視するべきなのですが、回路規模的に大変になってしまうので、6S18Vを終止電圧としてDCDCコンバータを止めるようにしたいと思います。

ツェナーダイオードを使って基準電圧を作ります。18Vを直接比較しようとすると、もっと大きな電圧が比較回路のために必要になってしまいますので、5V程度の電源で駆動できるように適当に電圧を調整します。また、電圧を比較するのに最も手軽な方法は、OPアンプをコンパレータとして使うことだと思います。OPアンプの+入力にツェナーダイオード、-入力に抵抗で分圧したバッテリー電源電圧を入れます。

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電圧比較回路
www.falstad.com
回路の原理確認には、このWEBアプレットの回路シミュレータを使いました。電源電圧が18Vを超えるとコンパレータの出力はLowになり、18Vを切るとHighの+5Vを出力します。

部品は、手元にあった3.6Vのツェナーダイオードを使うことにします。またコンパレータには、手元に転がっていた単電源OPアンプのJRC 3414ADを使うことにしました。これは、バイポーラ型ですが消費電力の少ないFET入力の方が良いと思います。
抵抗の分圧比は、電源電圧が18Vの時に3.6Vの電圧が下の抵抗にかかるように調整します。系列の抵抗値に当てはめて、下を3.6kΩ、上を14.4k(12k+2.4k)にしました。ノイズを恐れて多めに電流を流すようにしましたが、もうちょっと少なくてもいいかもしれません。

単電源OPアンプの電源を用意するのが億劫ですが、強い味方のスーパー三端子レギュレータ+5Vが手元にあったのでこれを使うことにします。超便利なので、手元にいくつか在庫を用意しておくと良いです。
ただし、こいつは低電圧検出後も停止されず微弱ながら電流を引き続けますので、停止してしまったら速やかにバッテリーを取り外す必要があります。基準電圧用のツェナーダイオードの電源とOPアンプの電源は同じものを用いてください。
akizukidenshi.com

あとは、このコンパレータの出力電圧をCOSELのDCDCコンバータのRC端子につないでやれば良いです。
注意点として、本来は出力にヒステリシスを入れて、一度基準電圧を切ったらラッチさせてチャタリングが起きないようにするべきだと思います。クリティカルな用途に使う際はよく注意してください。

出力状態の監視出力

この5V用DCDCコンバータで低電圧検出回路が働いたら、(もし使っていれば)他の系統の電源も連携して停止するようにするべきです。出力側の5Vの電圧でフォトカプラを駆動して、入力側の電圧基準で信号を取り出せるようにしたいと思います。
フォトカプラには、京都のマルツで入手できた東芝TLP550を使うことにします。これは、何の変哲もないオープンコレクタ出力1回路の物です。
toshiba.semicon-storage.com

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フォトカプラ
わざわざ回路図にするまでもないですが、左側の電源をCOSELのDCDCコンバータの5V出力、右側の電源をスーパー三端子レギュレータの5V電源とします。負論理で動きますので、そのまま別のコーセルのDCDCコンバータのRCに入力することができます。

メインのDCDCコンバータ電源回路

COSELのデータシートに従って素直に作ります。コンデンサのESRが無いので、シミュレータはこのままでは動きません。

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全体回路図

実装

出来ました。

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5V80WのDCDCコンバータの実装
が、やらかしています。DCDCコンバータモジュールは熱を持つので、電解コンデンサーを接しさせてはイケマセン!また、ラインフィルタを入れてはいますが、多分無意味なので不要です。

今日の本文

ダイエットのために、病院でおすすめされました。